神戸地方裁判所姫路支部 昭和60年(モ)306号 決定 1985年4月19日
申立人
難波覚
右申立代理人
板野尚志
板野次郎
相手方
株式会社ジャックス
右代表者
河村友三
主文
本件申立を棄却する。
申立費用は申立人の負担とする。
理由
一申立の趣旨及び理由は別紙<省略>記載のとおりである。
二本件申立理由の要旨は、本件公正証書は申立人が将来負担するとされる求償債務について上限額が定められているものの具体的数額はそれ自体明らかでなく執行証書として備えるべき数額の一定性に欠けているから、民事執行法二二条五号の要件を備えておらず、これに執行文を付与すべきでないのに付与されているのでその取消と執行力の排除を求める、というにある。
三しかしながら、本件のような事後求償では保証人の弁済額に応じて具体的に求償権が発生する(民法四五九条二項、四四二条二項)ため事前に作成された公正証書に一定金額の表示(民事執行法二二条五号)があるといえるか疑問がないではないけれども、記録によると、本件公正証書には相手方の求償し得る最高限度額が一定額で明示されており、執行文付与時に代位弁済の有無及び額を証明させ、これを表示することによつて債務名義の内容を補充していることが認められるから、債務名義としての効力を左右することはない。
よつて、これと異る見解に基づく申立人の本件申立は失当であるからこれを棄却し、申立費用は申立人に負担させることとして、主文のとおり裁判する。
(吉田秀文)